一般社団法人 中標津青年会議所
2023年度 理事長所信
2023年度 第48代理事長
島崎 広平
いける、もっとその先へ。
「僕のじいちゃんは開拓者だ。」家柄の話になるとよく発する言葉でした。私の故郷である別海町泉川地区は昭和23年に5名の若者によって一大酪農郷への幕開けがされました。戦後まもなく、この地の開拓を任命された義勇軍の中に僕の祖父はいました。私は祖父母の開拓期の話を聞くのが幼いころから大好きで様々な苦労話や喜びなどを聞いて子供ながらに感銘をうけておりました。空も見えないほどの木々に囲まれた地に降り立ち、目の前には原生林が広がり、ヒグマが家の中を漁る日常の生活はこの時代では考えることもできません。「幾千箇昼尚暗き密林の開き行く手は光り進みて」という詩が地元にはあり私の育った光進という地名もこの詩から取ったものです。この詩が示すよう生い茂る木々を一つ一つ手作業で切り倒す度に空からの光が差し、その光を求めて今日も前へ進む。この詩から当時の苦労や努力、また前へ向く姿勢など多くの学びを受けました。現代だと想像もできないくらいの苦労が見えますが、この現代にも様々な課題や問題が表面上にも潜伏的にもあるのが現状です。偉大な先人たちの功績を知り感銘を受けるように、次は我々が次世代の為に、様々な取り組みをし、今できることを具体的に実行していくことが大事だと考えます。
【はじめに】
私は2015年に入会しJC歴は今年で9年目となります。とは言っても2019年までは中々参加できず年に数回顔を出す程度でした。実際に本業も忙しく余裕もないまま、結婚をして子供も授かりJCを行う時間なんて皆無だったと思っておりました。しかし周りを見てみると同じ様な環境で積極的にJC活動している先輩も多数いました。もちろん聞きました。「いつ仕事してるんですか?」「いつ家族サービスしてます?」返ってきた答えが「JCに本腰入れてから仕事や家庭の時間も増えたよ。」でした。そんなはずがないと自分なりに色々考えましたがスリープしている間は答えが見つかりませんでした。考え方が変わったのは2019年に委員長を務めたときでした。仕事は忙しく、子供は3人目が生まれて間もなくでした。始めは委員長との両立は難しく睡眠時間を割いて議案書作りをしておりました。雪が解け春の兆しが感じられる頃、あることに気が付きました。それは意外と自分の時間が作れているということです。その理由は簡単でした。時間の効率化を自然と図っていたからです。ネットサーフィンしている時間、動画閲覧や無駄と思う時間はすべて自分と向き合う時間にしました。自然と仕事も捗り議案書の進捗状況も格段とあがり、家族旅行も数回行きました。もちろん大変なこともたくさんありますが、将来の自分磨きと考えるのであれば委員長の経験は一つも無駄ではありませんでした。この地域を良くしたい思いや熱意は相当の物があると自負しております。理事長という大きな担いを授けられた以上、全力でこの一年を突き進みます。
【地域ブランドの創出】
この3年間で私たちのライフスタイルは大きく変化し、我々若者達ができることも限られ窮屈に感じる場面もありました。しかしながら、この生活様式で見出した新たな技術や手法も得られ日本人の飽くなき探求心を間近で感じることができた3年間でもありました。今後も社会が目まぐるしく変化していくことが予想される今だからこそ、個性を活かしきれる若者が未来を創り挑戦し続けることが必要な時代です。ICT技術が発達した現在、良くも悪くも情報を世に広めることは容易になりました。近年「バズる」という表現が出てきたように何かの拍子に世間に知っていただく機会は過去に比べて多くあります。全国的にまだ知名度が高いとは言えないこの地域は今後、時代に合わせた広報が可能で、その効果は無限大だと感じております。新たな手法を取り入れ地域の魅力や運動を広め地域ブランディングの向上に努めます。そして、地方創生に大切なことは目の前の地域だけではなく広域的な活動が必要であり、様々な町の課題や問題を知り意見を取り入れ、更なる広い視野を持ち地域活性化の起点となるような企画を立案し、我々ができること、我々にしかできないことを確実に実行し存在価値を示そう。
【いま、求められる人材】
中標津青年会議所は昔と比べると会員数が減少し、委員会数や事業構築も限られているのが現状です。しかし、事業の本数が大切ではなく、内容や質が大切と考えます。当LOMの平均年齢は若く、一人ひとりが輝き個人はもちろん、LOMの存在価値を高められるメンバーが多数在籍しております。「誰かのために、が自分のため」。私の好きな言葉です。人間には二つのコミュニケーションがあります。一つは他人とのコミュニケーション、そしてもう一つは非常に難しいと言われている自分とのコミュニケーション。更なる自己成長を求めるのであれば、必然的に思いやりの心を持って他人とのコミュニケーションが必須となるでしょう。そのような機会がJCには多く存在します。委員会活動や例会など様々な場面で人間力を高め、周りから必要とされる人材になることが自己成長への近道だと考えます。また、自分を表現することも人間力として必要であり、人前で話せる機会が多く有るJCでは、要領をまとめて構築し人に伝える能力の向上を図っていきます。そして、内部だけには留まらず社会的にも求められる人材になるべく、学ぶ意欲の向上をさらに高め関係各所との協力、情報収集しこの地域に必要とされる未来を築くために、ひとづくりに力を注ぎます。
【4町発展特別会議】
私は生粋の別海町民であり地元愛が過ぎるほど別海町が好きです。しかし、高校はオホーツク方面へ行き卒業後札幌で就職して、弟子屈町で10年間商売をしておりました。人生の約半分は別海町外で生活をしていました。また、私は2015年に中標津青年会議所に入会し、中標津町で運動をしていく中で、この町の魅力、仲間、そして人とのつながりに触れて中標津町も大好きになりました。様々な地域で生活をしてそれぞれ町の魅力を知れた反面その地域の問題点や課題にも触れることができ、どの地域も共通した課題があります。解決するには各地域に留まらずに広域的にその地域を見ることが必要です。現在、中標津青年会議所には中標津町、標津町、羅臼町、別海町のメンバーがおり、情報収集含め広域的な活動が可能です。なによりも我々は若く志の高い青年団体です。農林漁業が基幹産業であるこの地域に潜む可能性は無限大で、これからもできることはたくさんあります。視野を広く持ち豊富なアイディア力で広域的な問題解決の一助となるような活動をしていこう。
【組織充実会議】
会員数の減少が課題であることが続いており、2022年度は組織改革会議体を設け会員拡大や対内的な組織改革を行い、理事会等の効率的な運営や会員拡大の動きも見える化しスムーズな運営が可能となりました。今年度は、より表面上の組織改革に力を入れ組織のイメージや具体的な運動論を対外に周知することで青年会議所の素晴らしさを知って興味を持っていただきます。そのためにはまず、現在のJCメンバーに在籍しているメリットを率先して体現していただくため参加率の向上を図ります。また、一緒に活動する仲間をさらに知ることも大切と考え、仕事の内容や趣味なども共有し一歩外に出ても支え合えるメンバー間になれるような仕組みづくりをします。我々の運動を理解し日頃から支えてくれている家族や会社の仲間に感謝の気持ちを忘れず、思いやりの心を持って更なるアイデンティティとバイタリティを加速させる環境づくりをしていこう。
【むすびに】
自分たちが子供の頃どんな風景を見ていたのか、そして大人たちの背中はどう見えていたのか今一度思い出してみると、田舎の町でも祭りがあると歩行者天国のように人が集まり、父母たちが一生懸命に催しの手伝いをして子供達を喜ばせていたことを鮮明に覚えております。子供ながら、この大人たちは自分たちのために頑張っている、未来のために全力で毎日を過ごしていると理解しました。あの頃の父母は現在における我々世代です。次世代を担う子供たちのために何ができるのか日々模索し、実際に実行しなければなんの意味もありません。必ず実行し効果を得て初めて結果が付いてきます。好きな造語に「前進全霊」という言葉があります。この造語のように失敗することを恐れず、また偽善者と呼ばれることすら恐れず心身ともに全力で前に進もう。