理事長所信

一般社団法人 中標津青年会議所
2019年度 理事長所信

2019年度 第44代理事長
村元 雄一

他がために、己を律し、存在価値を示せ。

今から約30年前、私の父も中標津青年会議所に在籍して明るい社会の実現を目指し活動していました。しかし、入会2年目で病を患い、治療のために片目を失ってしまった父は、周りの目を気にして他人との接触を避け、外に出ることができなかったそうです。

「村。たまには例会に顔出せよ!」

そんな時に声をかけてくれたのが同期のメンバーでした。それから父は、周りの目を気にすることなく堂々と出かけることができるようになりました。父は、在籍3年で青年会議所を卒業しましたが、そんな何気ない言葉をかけてくれる仲間、そして、思いやりを持つ仲間と30年経った現在でも交流を深めています。青年会議所は一生涯友人と言える他を慮る素晴らしい仲間との出会いを提供してくれる団体だと私は確信しています。

【はじめに】

あなたは胸を張って「中標津青年会議所のメンバーです」と言えますか。

入会当時の私はおそらく言えなかったと思います。なぜ胸を張って言えなかったのか。私自身の青年会議所へのイメージが悪かったのか。それとも自分自身が一生懸命活動していなかったからなのか。そもそも青年会議所を理解できていなかったのか。

人それぞれ仕事や家庭の状況や環境は違います。私も青年会議所に入会してから結婚し、子供も授かり、会社の役職も上がりました。そんな中、青年会議所での役職が上がるたびに仕事と家庭とJCの両立が難しくなりました。しかし、人には平等に1年365日、1日24時間あります。その中で青年会議所へ費やす時間を少しずつ背伸びしながら増やしていきました。「自分が変われば他人の見方も変わる。自分を写し出す鏡を常に意識すること」と教えてくれた先輩、「自分の選択で青年会議所に入会し、自分の選択で役職を受けたということは好きでやっているのだから何かを犠牲にしていることはない」と教えてくれた先輩の言葉を信じ、自己成長を求め、多くの人と出会い、様々な経験を得たことで、入会して10年目を迎える今の私は、自信を持って「中標津青年会議所のメンバーです」と言えます。誰でも変われるチャンスはあります。そのチャンスを掴むには自分への投資と強烈な原体験が必要です。

青年会議所がすべてではありません。しかし、40歳までの期限付きの青年会議所くらい一生懸命できない人が、後世に何を残せるのでしょうか。JCしかない時代からJCもあると言われている現代において、私たちの地域にも各種団体が存在していますが、青年会議所は終戦間もない1949年に「新しい日本の再建は我々青年の仕事である」という覚悟のもと設立されてから長きにわたる歴史と「奉仕・修練・友情」の三信条を基軸とした社会的信頼があります。そして、地域住民の意識を変革させ、より良い社会へと導くために、政治を動かし社会を変える政動社変の精神をもった政策立案実行団体であるからこそ、今の時代でもJCが先頭に立ってやれることはまだまだあります。

我々は自分自身への投資を惜しまずに地域のこと、これからの地域を担う子供たちのことを真剣に議論しています。一人ひとりが更なる自己成長を求め、青年会議所の存在価値を示すJAYCEEとして、未来を見据えて進取果敢に妥協なき行動ができれば、地域の未来も明るく照らすことができると私は信じています。

【地域の未来ビジョン】

中標津町は、1931年から2年続いた大凶作によって北海道庁が策定した「根釧原野農業開発5ヶ年計画」により、穀物主体だった農業から、現在の基幹産業である酪農業へ180度転換したのを始め、1946年に標津村から分村して以降、わずか3年余りで町制へと移行した旺盛なフロンティア精神とたゆまぬ努力によって、根室管内の中核都市として目ざましい発展を遂げてきました。

日本創成会議による、2040年までに人口減少による消滅可能性都市として、中標津町は該当していないものの、近隣の標津町、別海町、羅臼町は消滅する可能性があると言われています。しかし、中標津町の人口においても、2012年までは微増していましたが、近年では微減しているのが現状です。ある文献においては、社会増減が自然増減をカバーしているので地方創生の参考にはならないと書かれているものもあります。

中標津町は「住みやすさナンバーワンのまち」を目指し、行政は人口増加に向けて商工会や観光協会と連携し運動を展開しています。我々も青年らしい考え方で中標津町が目指す目標に向け運動していく必要があります。もう一つ考えなければならないのが交流人口増加です。我々の地域には何があるのか。大事なのは「ないもの探し」をするより「あるもの探し」をすることです。近年、SNSの普及によりキャンプブームが再熱しています。我々の住む地域には広大な自然と子供たちが年中遊べる北海道立ゆめの森公園を有しており、この好条件とキャンプを掛け合わせ魅力溢れるキャンプ場を作ることができれば交流人口拡大できると確信しています。

地域のアイデンティティを効果的にブランディングすると同時に、政策立案実行団体として先頭に立ち、行政や各種団体と連携して地域の未来ビジョンを示そう。そして、既存の概念にとらわれない大胆な行動が我々の使命です。歴史や伝統をしっかりと継承し、不変が変化によって保たれていることを知ることで、変革の能動者として新たな時代を切り開くJAYCEEとして我々は更に一歩先に行く行動を起こそう。

【次世代を担う子供たち】

 2017年、新学習指導要領が公示され、小学校は2020年から、中学校では2021年、高等学校は2022年から全面実施されます。国は「教育は未来への投資」と位置づけ、教育の充実を図る制度改革が着実に進んでいます。今回の改訂の基本的な考え方の中で、子供たちが未来社会を切り開くための資質・能力を一層確実に育成するためには、子供たちに求められる資質・能力とは何かを社会と共有し、連携する「社会に開かれた教育課程」を重視すると記載されています。この分野において青年経済人である我々が、地域の小学校・中学校・高等学校と積極的に連携して次世代を担う子供たちに「生きる力」を養うことが責務であります。

そして、10年前の教育基本法の改訂により,子の教育について第一義的責任は親や保護者であると定められました。我々責任世代が地域と一体となり親や教育関係者とともに必要な習慣を身に付けることで,自立心を育成し,心身の調和のとれた発達を図るよう導こう。

さらに、2015年6月に改正選挙法が成立し選挙権年齢が18歳以上に引き下げられ高校生にとって政治や社会が一層身近なものとなっているにも関わらず、2016年7月に行われた参院選では18歳の投票率が約51%から同年10月に行われた衆院選では投票率33%と大幅に低下しているのが現状です。これまで若者に政治教育としてあげられてきたのは模擬選挙でしたが、あくまで体験的な教育に過ぎず、これからはアクティブラーニングやPBL(問題解決学習)などを活用する実践的な教育が必要です。次世代を担う若者に、身近な課題について議論を交わし、政策を作っていくような実践的な教育を取り入れ、政治を身近に感じてもらうことで本年行われる統一地方選挙や衆議院選挙、近い将来訪れる憲法改正発議後に行われる国民投票の投票率向上に向けて、正しい知識と主権者意識を育むことが我々責任世代の責務です。

また、2045年にはシンギュラリティの時代が訪れると言われております。現在、人間がおこなっている職業のうち約9割の職業が人工知能に取って代わり、約9割の人が仕事をしなくても食べていける時代と言われ「人の生きがい」がこれまで以上に奪われる可能性があります。そんな時代に向けて、これからの次世代を担う子供たちへ「生きるとはなにか」「人生とはなんなのか」という疑問や考えを持つ人間味あふれる人材を育成していきたい。

【北方領土返還とロシアとの関係】

日本固有の領土である北方領土は、戦後74年経った今でも不法に占領されたまま、昭和を終え平成という時代も終わりを迎えようとしています。引き揚げ当時、17,000名ほど居た元島民は現在では6,000名まで減り、その平均年齢は82歳となり、当時の島々の様子や暮らしぶり、ソ連軍の侵攻や島から追われた時の様子など正しい歴史を語れる方が少なくなって来ております。

私の祖父母も国後島の秩苅別から羅臼町への引き揚げ者で元島民でありました。祖父母は北方領土返還を待たずに亡くなってしまいましたが、生前はよく国後島での暮らしぶりや故郷のすばらしさなどを語ってくれた記憶があります。そんな元島民3世である私自身も、青年会議所に入会するまでは北方領土問題の正しい歴史は学校で教わる程度で、ましてや北方領土返還要求署名運動などには参加したことがありませんでした。北方領土隣接地域である我々が住む町にもそのような人が数多くいると思います。その現状を打破すべく決して北方領土問題を風化させることなく、我々が中心となり後世に北方領土の正しい歴史や当時の状況を伝えると同時に、北方領土返還後の地域ビジョンを考え、広域にブランディングすることで地域全体の当事者意識を高めていきたい。

そして、昨年、公益社団法人日本青年会議所北海道地区協議会は、北方領土問題の新たなアプローチとしてロシアの青年経済人との日ロ青年経済事業を実施しました。この事業は、極東ロシアと北海道の青年経済人が対話を通じて、それぞれの地域課題の共有と協力による課題解決を考察する中で、領土問題の平和的解決につながる良好な日ロ関係を下支えする地域間交流、人的交流の深化を図ることができました。我々も北方領土隣接地域の青年会議所として、北海道地区協議会や根室青年会議所と連携して地域間交流や経済交流ができないか考え行動を起こすことが必要です。

【活気あるLOMへ】

私が青年会議所に入会した当時は、会員が50名ほどいて全員の名前を覚えるのも大変な時代でした。近年では会員減少に歯止めが効かず当時の半分以下の会員数になっています。もちろん会員が多ければ多いほどLOMの活気は高まるでしょう。しかし、会員が少ないからといってLOMの活気が衰えるとは私は思っていません。活気があるLOMとは、常に何かを発信し周りから注目され高い志があり強い絆で結ばれたJAYCEEが一人でも多くいることです。

「人は人でしか磨かれない」という言葉があるように、青年会議所には出向という最高の人材育成プログラムによって多くの人と出会い、LOMでは経験できないスケールの大きい事業にも関わることで学びを得て自分を磨くことができます。出向というチャンスを生かし得られたものをLOMへフィードバックすることで活気あるLOMへと進化するでしょう。

そして、出向だけではなく、我々の地域に住む人も私たちを磨いてくれる存在です。地域の人たちは中標津青年会議所をどのように感じているのか。最近良く耳にするのが「青年会議所って何をしている団体なの?」という質問や、我々の先輩からも「最近の現役は元気がないし何やってるか分からない」と聞くことがあります。この問題を解決できれば、地域住民の認知度が上がり、存在価値を示すことで我々の運動に誇りと自信を持つことができるでしょう。また、例会や日本JCの事業、北海道地区協議会の各諸会議や事業への出席者も減る一方です。横のつながりこそが我々の強みだったはずが、そのつながりも薄くなってきています。今一度、横のつながりを強化して、誰一人取り残さない活気あるLOMを取り戻そう。

【JCのブランディングと会員拡大】

 近年、SNSが一般化して、ICTの進化によりクラウドファンディングなどのシステムが活用され、たった一人の発信が地域住民の目に触れることが多くなり、共感を得やすくなりました。上記でも問題視しましたが、我々が行っている運動や活動を広く周知するには、足を使って時間を費やす方法も大事ですが、これからの時代はSNSやICTを上手に活用することが必要です。地域住民の目に触れる機会が多ければ多いほど、我々の認知度向上につながり存在価値が確立され、良循環を生み出し会員拡大にもつながるでしょう。

今年度は、積極的にSNSやクラウドファンディングを活用した事業を展開していきたい。また、SNSやクラウドファンディングを広報だけのものにとどめず、特にクラウドファンディングは、2011年の東日本大震災をきっかけに、被災地復興事業の資金調達という形で一気に広まり、近年では資金不足で諦めていた事業や「こんなモノやサービスを作りたい」「世の中の問題を、こんな風に解決したい」などのアイデアやプロジェクトを持つ起案者がクラウドファンディングを活用して地域創生に向け活躍しています。我々も一歩先を行く団体として、我々自身の活用はもちろんですが行政や地域住民にもその必要性を訴えることで、起案者を募り、JCの価値を高める行動を起こそう。

そして、皆さんは会員拡大を他人事にしていないでしょうか。私自身も入会当初、会員拡大は役職を持った人がやるものだと勝手に決めつけていました。その時代は会員が50名もいたのでそれでも良かったのかもしれません。昨年、あるLOMの理事長に会員拡大について聞くと、「10名を切ったら会員拡大の対象者の幅が広がらずどうしていいか分からない」と言っていました。現在、我々の会員数は20名弱であり、今が正念場です。北海道地区協議会内でも会員数の減少に伴い数件のLOMが解散しております。その地域は、少子高齢化や都市部への一極集中など様々な要因もあり衰退の一途をたどっています。地域に対する問題や課題を解決へ導くことができる我々の存在価値を地域住民に示し、一人ひとりが危機感と当事者意識を持って会員拡大を他人事とせず行動しよう。

【来たる2020年に向けて】

 日本国内では、2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けて国民の機運が高まっています。青年会議所においても2020年には第69回全国大会北海道札幌大会の開催が決定し、我々も副主管として、他人事とせずに準備段階から日本青年会議所の事業や諸会議への参加はもちろん、PRキャラバンなど、積極的に札幌青年会議所に協力できるLOMでありたい。

そして、2020年には我々中標津青年会議所も創立45周年の節目を迎えます。地域住民や志を同じうする仲間、そして、これまで英知と勇気と情熱を持ち中標津青年会議所の歴史を紡いできた先輩諸氏への感謝の気持ちを伝える場とするべく、今年度中から過去の周年事業を調査・検証し、来たる半世紀の大事な節目を迎える前の周年としてどういう形が望ましいのかOB諸氏も含め議論を交わし時代に即した周年事業を開催しよう。今年度、盤石な組織基盤が整い地域住民への存在価値を示すメンバーの行動喚起が確立されたLOMへの成長が、2020年度中標津青年会議所創立45周年式典・事業を成功へと導くと確信しています。

また、昨年、北海道胆振東部地震の発生により予定通りの開催が叶いませんでしたが、公益社団法人日本青年会議所北海道地区協議会は、小さなLOMでも地区大会ができる可能性を第67回北海道地区大会苫小牧大会の構築で示しました。我々の地域でも北海道地区大会が開催可能かどうか調査・研究し議論を交わしたい。北海道地区大会は地域住民にJCの存在価値を最大限示すことのできる大会であり、主催と主管が一体となり地域にイノベーションを起こすことのできる大会です。さらなる地域の飛躍を求め、メンバー一人ひとりの意識変革を促すとともに、目標に対して全員が同じ方向を向いて進むLOMにしよう。

【結びに】

 私は、北海道地区協議会の役員として2年間出向させていただいたことで、北海道地区協議会のスケールメリットと北海道内には1400名の同志が居て47LOMすべての地域で様々な物語があることを学ぶことができました。

青年会議所は「地域を人で語る」と言われていますが、そのような人を私はこの2年間で豊富な経験と英知という知恵を持った仲間を北海道内各地に得ることができました。今年度は、その友人を頼り我々の運動にエッセンスを加えてもらえれば、この地域にイノベーションを起こすことができると確信しています。

地域の発展やそこに住まう人々の幸せのため、愛する家族や次世代を担う子供たちのため、そして信頼できる仲間のために、自分自身に投資し、自らを写し出す鏡を常に意識し、全員が挑戦し置きに行くことなく、勇気と情熱を持って行動することで我々の存在価値を示そう。

元ラグビー日本代表監督、平尾誠二さんがこんな言葉を遺している。

今の時間を大事にできない人は、

未来の時間もきっと大事にできない。

ここで自分らしく生きることができない人には、

次なる道は開けない。

「今、生かされている感謝の気持ち」と「志と使命を持って生きる」ということが、

明るい豊かな社会の実現につながると信じ、

他がために、己を律し、存在価値を示そう。


トップへ戻る